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インタビュー【第36回-3】

オーテック株式会社によるインタビュー。

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【第37回-4】FIAジャパン 茂木 様

オーテック

―5月の連休明けから、東京工業品取引所で新システムが稼動しました。同時に取引時間も延長され期待値は高いと思います。如何でしょうか。

茂木様

 東京工業品取引所の新システム導入は、単に「次世代システムを
導入する」というのが目的ではありません。これは流動性を上げ、市場機能を高めるための手段であり、一通過点でしかありません。新たな売買ツールとして考えるとすれば市場参加者の利便性の向上、市場参加者層の多様化を目指したものと理解して欲しいと思います。新システムは売買執行がかなりハイスピードになりますが、リテールのお客様にはスピードは左程大きな影響はないと思います。短期的には市場流動性を高めるプロップ・トレーダーを含むプロフェッショナルのための施策と考えたほうが分かりやすいと思います。以前にもお話した通り日本の商品先物市場はプロップ・トレーダーが育ちにくい環境にありました。今回の新システムの導入で一部の問題は解決すると考えます。しかしながら、もう一つの大きな問題が立ちはだかっています。それは、欧米に対して日本はリスクの把握とその管理が今だ充分とはいいがたいものがあります。具体的には、市場リスク量と許容リスク量との分析と把握です。この点が日本は欧米に比べて大きく遅れているところであり、より高度なリスクと適切な管理体制を有する清算取引機能の中で市場が必要とするトレーダーを育成しなければなりません。

 新システムは注文執行の多様化、注文執行のスピードが国際水準に近づくことが強調されていますが、実はこれらはリスク管理に密接に繋がっています。特に、注文執行の多様化は、新たなリスク管理手段の構築を平行するものであり、受託業者の収益機会の多様化にも大きく貢献すると思いますし、人材の育成にも大きく寄与すると考えます。また、これを機に市場国際化を大きく促進する環境を整え、国内外を問わずよりグローバルな市場参加者を促進する事で、健全な市場流動性の育成に貢献するものと考えます。

 そのために取引所は何をすれば良いかといいますと、市場参加者の利便性、取引所の友好的な対応、取引所諸規定、マニュアル等を英文に翻訳しかつ随時タイムリーな対応をする事などが求められます。外国人にとっては、日本語でしか書いてないマニュアルは役に立たないですからね。これは外国人から考えれば大きなハンディキャップですから・・・、市場にとっては大きなマイナスですね。これでは、これまでのドメスティック市場から大きく脱皮することは不可能です。グローバルな取引所市場に育てるためには、根本的に取り組まなければならない一元行政化、市場参加者の利便性、安全性に加えより経済的メリットの提供を考えた抜本的清算制度の見直しが必要です。日本は最も恵まれた環境にあると申し上げましたが、各種条件を整えないのであれば、このまま埋没していくしかないと思います。

オーテック

―日本でこれまでおざなりにされてきたものに啓蒙活動があると考えています。CME等は年間予算の3割程度が啓蒙活動予算と聞いたことがあります。どのようなことを行っているのでしょうか。

茂木様

 海外の場合、比率は理解していませんが、かなり多額の費用をプロフェッショナル向けに啓蒙教育活動に宛てていることは間違いありません。前回もお話しましたが、日本の商品先物市場は市場流動性の根源を大衆投機取引に過度に依存してきた取引所、受託業者の経営姿勢が歴史背景にあります。このことが市場の近代化と、健全な市場流動性の育成にブレーキをかけ続けてきた要因の一つと考えています。このことがお尋ねの点の背景にあるのでしょうね。

 商品先物市場は市場参加者個々に利用目的が異なりますから、それぞれのセクターに分けて考える必要があると思っています。例えば、リスクヘッジを目的にしている人に投機取引を教えてもそれはあまり意味のないことですから・・・。

 取引所はプロフェッショナルな市場参加者を育てていくことが必要ですし、新規上場商品を検討する際も重要なことがあります。新たな商品の上場は国内の現物業者や商品取引員だけに聞くのではなく、海外の関係する業者にも声をかけてどのような商品を、どのような設計で上場したら活用するか聞いてみる、即ち、市場参加者の意見をより重視する必要があるでしょう。市場は利用しやすい設計になっていれば市場参加者は増えていくでしょう。

 今回、各取引所は営業(マーケット)部門を組織しました。マーケティング部門は市場参加者のニーズの把握を踏まえ、商品及び市場設計に反映させる事によりその環境は整っていくことでしょう。マーケティング部門は商品設計、市場設計、人間関係、取引所間の情報の共有、行政機関との情報交換および共有等を網羅できるようにしなければ成りません。そういう意味では、これらのさらなる人材の導入と育成が必要と感じます。例えば商品設計において、国内の当業者と大学の先生を集めて商品設計をしても、市場の繁栄、流動性を確保することは難しいはずです。それから、国際市況商品を育てる必要があるわけですから、日本の都合だけで商品設計をしたらハンディキャップを背負うでしょう。

オーテック

―何故、日本では行われてこなかったのでしょうか。

茂木様

 これは答えは簡単です。本件においても市場流動性の多くを大衆投機に依存してきた事が市場イメージなどを低下させた事、取引所諸規定ルール等が大衆投機取引またその保護を主体とするものとなり、プロフェッショナル取引には適合しない商品、市場設計に傾いた事、簡単に言えば取引所の取引啓蒙促進活動の効果を業界が持つ委託者関連問題の多発化により減少させたものと考えます、更には、取引所行政にあって市場参加者の意見をより多く取引所経営に反映させるべきであったとも思われます。市場の繁栄のための本来の声は多様なプロフェッショナルな市場参加者からの発想に依存するものが大であります。