引き続き株式会社東京工業品取引所の小野里執行役にお話を伺っています。今回は最近の取引状況や今年後半から導入されるスパン証拠金制度などについてお話を伺いました。また、新システムについても伺っています。ご期待下さい。
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| オーテック |
―貴金属は通貨とのリンクやETFとの兼ね合い等も含めて結構動いていますし、石油関連商品も世界的な景気後退と中国やインドなどの大量消費の綱引き等もあり変動幅が大きくなっています。しかし日本国内はなかなか盛り上がってきておりませんね。 |
| 小野里様 |
金については昨年の秋口から取引に活気が戻って来ました。ただ、ここ数年の大きな流れで言えば、世界の商品先物市場は活況を呈しているにも拘わらず、日本市場は尻すぼみの状況にあることは否めない事実です。こうした事態を改善するには、新たなビジネス・モデルの構築が不可欠です。具体的には二つの方向性が考えられます。
一つは取引所市場に直接的に取引参加するプレーヤーの拡大です。当然のことながらこれは市場活性化策の中心に位置づけられます。もう一つは集団的投資スキームを介した間接的な資金の導入です。後者は個人投資家の資金の導入に有効だと考えます。
実は昨年12月にシンガポールに行ってきたのですが、シンガポールやシドニーの証券会社は、生き残りのためには個人投資家に対してコモディティ関連の商品を如何にして提供できるかが鍵だと言っていました。要するに証券市場がもたついている現状において、コモディティがブームになっているということだと思います。そのために彼等は、個人投資家がコモディティにアクセスするための商品ファンドや商品ETFや商品に投資する投資信託など様々なツールを日夜研究しているんですね。
日本でもコモディティへのアクセス・ツールの多様化を図る必要があると思います。既にそうした萌芽は現れつつありますが、専ら金(ゴールド)に限定されているようです。金の場合は現物、先物、純金積み立て、ETFなど既に様々なツールがあります。他の商品についても同様の動きが広がれば、投資家の間口が広がり、商品市場も活性化すると思います。 |
| オーテック |
―取引員からは新取引システムは、注文執行条件が英語表記ということもあり、難しいのも不振の原因との声もあります。如何なのでしょうか。
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小野里様 |
一新取引システムは、性能、機能、取引ルールのいずれをとっても世界標準に適ったシステムでもあり、今後の国際化を考えれば現在のシステムを抜本的に変えるわけにはいかないことを理解してほしいと思います。
英語表記の問題ですが、これはそれなりの理由があってのことです。例えば、”market order”を従来は「成行注文」と訳していたんですね。しかし、これまでの成行注文は全量約定する注文でしたが、新取引システムの”market order”はそうではありません。ですからこれを成行注文と訳すわけにはいかなくなりました。「市場注文」とか「新成行注文」と訳したらどうかという議論もありましたが、どれもしっくりきません。そこで、要は馴れの問題だということで、英語表記のままとしたわけです。ただ、取引所として、投資家の皆様が理解できるよう、新取引システムについてはより一層の啓発活動が必要だと感じています。
これは余談ですが、大阪証券取引所が同じ取引システムを導入することが決定しています。大阪証券取引所も同じ注文執行条件を使いますので、今後は投資家全体に理解が進むと思いますよ。
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| オーテック |
―スパン証拠金制度の導入が平成22年後半からと決定しました。当初、使い勝手の問題も含めて商品取引員や協会からは反対の声が上がっていたようですが、協会とJCCH間の話し合いも進められ、理解は深まったようですね。オーテックは逆にスパン証拠金制度の導入は売買振興に役立つと思っているのですが、解説をお願いします。
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| 小野里様 |
スパン証拠金を言葉で説明するのはなかなか難しいですね。簡単に言えば、1つの商品を売るか買うかのいずれか一方だけの取引しかしない人には不要な制度です。しかし、同一商品の限月間の価格差に注目する限月間スプレッド取引、関連する複数の商品間の価格差に注目する異商品間スプレッド取引、同一商品の異なる市場間での価格差に注目する裁定取引など、種類の異なる複数の商品を取引している人にとっては、証拠金が軽減される可能がありますから、資金効率を高めるメリットがあります。もともと証拠金はリスクに見合う担保ですから、単純な足し算や掛け算の計算だけで証拠金額が決まるのはおかしなことなんですね。
スパン証拠金制度は米国のCME(シカゴ・マーカンタイル・エクスチェンジ)で開発され、今では世界的に活用されている証拠金計算システムです。以前からスプレッド証拠金制度というのはあったのですが、オプション取引が始まったことによってオプションを組み入れたポートフォリオのリスクは手計算では到底できなくなったことから、SPAN証拠金が開発されたのです。スパンが開発されたことにより、オプションを含めたポートフォリオの証拠金計算が楽にできるようになりました。日本商品清算機構JCCHでは、平成22年度後半にこの証拠金システムを導入する予定になっています。 |