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インタビュー【第38回-4】

オーテック株式会社によるインタビュー。

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【第40回-4】
株式会社東京工業品取引所 小野里光博 執行役

 株式会社東京工業品取引所の小野里執行役へのインタビューもいよいよ最終回になりました。今回は3月から始まる日経・東工取商品指数の先物取引についてお聞きしました。また、商品先物取引業界の将来についてもお伺いしています。ご期待下さい。

オーテック

―今年3月23日から日経・東工取商品指数が上場されます。非常に期待が大きいと思っています。上場の意義や取引要綱等についてお話下さい。また、貴金属指数や石油製品指数も上場すると、さらに取引の戦略が広がると思うのですが如何でしょうか。

小野里様

 日経・東工取商品指数は、東工取の上場商品を商品毎に市場規模に応じたウェイト付けをして加重平均をとった指数で、東工取市場全体の価格水準を表わしています。面白いのは、東工取指数を1~2ヶ月先行させて卸売り・企業物価指数と相関係数を計算すると正の相関が観測できます。つまり、この指数は景気の先行指数になっているということです。よくよく考えてみると、当社の上場商品は原材料ですし、企業はこれを加工して製品を作って消費者に卸していくわけですね。そこには当然時間差がありますから、取引所で形成される原材料価格が卸売り・企業物価指数の先行指標となることは当然なのですね。
 
 このように日経・東工取商品指数は景気の先行指標的な性格を持っているので、その先物取引はインフレ・ヘッジにも使えるというわけです。ですから単に指数を発表するだけではなく、先物契約として上場することの意義は非常に大きいと考えています。

 また、日経・東工取商品指数は複数の商品から構成されていますから、これを売買するということは商品のポートフォリオそのものを売買することになります。一種の商品ファンドを取引しているという感覚に近いと思います。

 今回はFXと同じロールオーバー方式(限日取引)を採用していますから、スポット取引をしているようなもので納会がないのが特徴です。投資家のメリットとしては、ロールオーバー方式のため取引の期限がないこと、限月が1本ですから取引が集中して流動性が高まること、現金決済取引なので受渡しを気にしないで取引できること、などが挙げられます。

 今回はまず日経・東工取商品指数の総合指数を上場しますが、取引の状況を見て、貴金属指数や石油指数などのカテゴリー別指数の上場も検討したいと思っています。

オーテック

―いつもの質問で皆様には不評なのですが、敢えてお聞きします。10年後の商品先物取引業界の姿を予想してください。

小野里様

 一現在、伝統的なビジネス・モデルのパイが縮小しつつあるというのは事実ですが、市場仲介者としての商品取引員の機能が必要なくなることはないと考えています。ただ、ネット取引のように注文を市場につなぐだけでは、システムの利便性と手数料以外に差別化できないので、システム費用がかさむ割には高い手数料はいただけないということになっていきます。「高い手数料でも構わないからこのブローカーで取引をしたい」と思わせるための重要な要素は、顧客に対するコンサルティング能力だと思います。特にヘッジ取引には高度の専門性が要求されますから、そうしたアドバイスが適切にできるブローカーであれば、今のような厳しい状況でも十分生き残っていけると思います。

 もう一つの重要な差別化の要素はクリアリングです。委託手数料の実質的な拠り所は、注文執行よりも、むしろクリアリングのほうに重点が移ってきているのではないでしょうか。例えば、これはまだ日本では実現していませんが、店頭取引に対するクリアリングのニーズは無視できないものがあります。東京工業品取引所も排出量取引市場の創設を検討していますが、排出量取引市場の当面のニーズは注文のマッチングではなくクリアリングにあると考えています。確かに店頭取引の取引枚数は、先物取引と比較すると数は桁違いに少ないのですが、店頭取引に対するクリアリング手数料は、先物取引の10倍とか20倍といった水準に上ると言われています。ただ、店頭クリアリングには、通常の取引所取引のクリアリング以上に、高度なリスク管理能力が要求されます。

  要するに薄利多売型ビジネスに徹底するか、あるいは高い付加価値の提供により単価の高いビジネスを志向するか、という問題だと考えていただければ分かりやすいと思います。
 
 私は10年程前、ある雑誌に「21世紀の商品先物ビジネスは機能のアンバンドリングとバンドリングという形を経て展開していくだろう」という趣旨の記事を書いたことがあります。商品先物取引には注文執行機能やクリアリング機能といったいくつかの重要な機能がありますが、従来はこれを一業者が一括的にサービス提供するのが一般的だった訳ですが、これからはそれらの機能を分解して(アンバンドリング)、それぞれの機能に特化した業者がそれぞれの分野でより高度な機能を提供するようになり、その高度化した機能を再びとりまとめることによって(バンドリング)、総体としての商品先物ビジネスが成立していくということです。

 手数料というのはサービスの対価ですから、サービスに見合った対価、対価に見合ったサービスという点が強調されるようになるということです。

オーテック

―弊社のホームページには多くの方がお見えになります。東京工業品取引所様のご紹介でも宣伝でも結構ですので、メッセージをお願い致します。

小野里様

 今、日本の商品先物ビジネスは大きく変わりつつあります。今年も業界は大きな変革が続くことが予想されます。その変革のあるべき方向性については論者によって意見が異なるでしょうが、少なくとも「証券・金融と商品との融合」と「国際化」といった大きな流れを無視することはできないと思います。東京工業品取引所はこうした流れを一早く看取して改革を進めてきました。改革はまだ道半ばではありますが、今年はそうした改革の成果を少しでも目に見える形で実現させる年にしなければなりません。そうは言っても東京工業品取引所だけで全てができる訳ではありません。関係者のご理解とご支援をお願いして、私からのメッセージに代えたいと思います。