サブプライム問題がサプライズを生む
昨年夏場にサブプライム問題が発覚して以降、商品先物市場に投機資金が大量に流れてきて、商品市況を大幅に押し上げています。実際には、サブプライム問題以外にも南半球の小麦を始めとする穀物の不作や、新興国の景気拡大によるエネルギーの需要増大、代替エネルギーとしてのとうもろこしや砂糖を原料とするバイオエネルギーの開発など、商品市況を押し上げる材料は事欠かない状況にありました。
ところが、前述したようにサブプライム問題で行き場の無くなった投機資金(ホームレスマネー、およそ6000兆円)が、大量に商品市場に流入し相場を押し上げていきました。動きが急であっただけに、実需段階では原料高の製品安の状況に陥り、結果的に製品に転嫁(ガソリンや灯油、マヨネーズ、麺類、パン、小麦粉など値上げ製品は数知れず)せざるを得なくなり、秋口からの値上げラッシュに繋がっています。
日本の価格決定のメカニズムは、商社が原料を輸入し1次問屋にそれを卸し、さらに加工業者や2次問屋に流れていき、さらに製品化され商店から我々が購入していきます。当然、どの段階においても適正な利益を乗せますから、価格は徐々に高くなっていきます(それが流通)。また、どの段階においても、数量及び価格が安定的であることが、消費者に適正な価格で販売できる仕組みですから、原料の急激な価格高騰はこのメカニズムを壊すことになってしまいます。
この価格決定メカニズムを作り出しているのが商社です。商社は原料の安定的な供給を約束する代わりに、配下に対して購入ルートを変更しないように申し入れています。結果的に1次問屋以降は、商社に従わざるを得ず、日本では商品先物市場を使ったヘッジが疎かになっていた、或いは使うことが出来なかったのです。
昨年後半に国内の石油メジャーが東京工業品取引所に会員として参加しました。その理由は、「価格決定メカニズムを維持できなくなったので、公設市場の価格を参考にする必要に迫られてきた」というものでした。ご存知のように、石油メジャーは商社と同じ位置づけにあります。つまり、商社が安定的な供給が出来なくなってきているということです。そうなると、各流通段階において計画・健全経営が出来なくなることを意味しています。従って、各流通段階は独自にヘッジをしなければならなくなっているというわけです。
このことは、商品先物市場の変化を意味しています。これまで、日本の商品先物市場は投機の場としての色彩が強くありました。しかし、今回の一連の変化が商品先物市場を根本から変える(ヘッジの場と変身させる)要素が生まれてきたということになります。同時に、新たなビジネスモデルを生み出す好機とも言えるのではないでしょうか。

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