実需待望論
商品先物取引業界は産業構造審議会・商品取引所分科会において、プロ市場化の推進を中心にした議論が盛んに行われています。このことは、これまでの市場が個人投資家中心の取引で、その取引の大半が投機だけで行われていることが根底にありました。本来、商品先物取引は実需者の保険つなぎを目的として開発され、その受け皿として資産運用手段としての投機資金が存在しました。また、将来価格の発信機能も兼ね備えなければならないことから、実需者にも生活者にも将来価格を公平に知らしめることを目的にしています。
ところが、市場が投機に偏りすぎて、商品取引員と個人投資家の間でトラブルが多発し、市場はプロ化しなければならないとの議論になっているのです。さらに、付帯する形で不招請勧誘の禁止や、IB制度の導入・ラップ口座方式の導入の賛否論にまで広がりを見せています。
委託者トラブルは社会問題ですから、主務省は何としもトラブルが起きないような制度を作り上げなければなりません。しかし、自由主義経済において「商品先物市場は産業インフラの一つとして重要」との側面もありますから、がんじがらめの規制でも困ります。
要は、その二つを満足させることを考えればよいのです。そこで、現在考えられている柱が「プロ市場化の推進」ということになります。いまいち『プロ』の定義がはっきりしませんが、市場のプロ化だけでこの問題が解決するとは到底思えません。その『プロ』の中に必要な参加者が『実需者』ではないかと考えます。更に言えば、そのプロの中心が『実需者』でなければならないのではないでしょうか。
出光石油や新日本石油が東京工業品取引所に会員加入し、取引所価格を卸値の参考にすると発表しました。卸値は小売に直結しますから、取引所価格を見れば消費者も現在の価格が確認できますし、将来の価格まで予測することが可能になります。そうなりますと、個人投資家も公表価格を参考にして、商品先物市場で資産運用をしようと思うはずです。 実需者の参加メリットは他にもあります。実需者が市場に存在すれば、価格が高過ぎれば大量のヘッジ玉を浴びせますし、安過ぎれば市場から現物を手当てするための買い玉を入れるでしょう。つまり、大量の資金を持ってしても価格を意図的に吊り上げたり、売り崩したりすることが不可能になるのです。
これまで、委託者トラブルに発展したケースをみますと、大きく二つに分けられます。一つは、受託側が法律等のルールを犯して、委託者に多大な損失を与えてしまったことです。二つ目は、意図的に価格操作をする人がいて、理由のつかないような乱高下が起きてしまうことに起因することです。商品取引所は市場監視を行っていると思いますが、投機オンリーの市場ではそれも難しいと思います。実需者の参加は、市場に対する暗黙の監視にもなりますから、実需者が参加できる市場作りも同時に進めて欲しいと考えます。

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