原価を知る
商品先物取引業界は売買高の低迷により、ますます流動性は低下し、同時に経営環境も厳しさも増してきています。商品取引員経営者の皆様は、あらゆる施策を施し経営の建て直しに真剣に取り組んでおられると存じておりますが、現状では目に見える形での成果は現れていないようにお見受けします。
現在の低迷には様々な要因が存在しますが、サブプライム問題以降の経済危機もその要因の一つであり、経済不況というより金融不況といった言葉が適切なのかもしれません。しかし、日本全体が不況の真っ只中であるといっても、企業経営は継続されなければなりませんし、継続してこそ企業価値は高まります。また、継続すること自体が雇用や適切な納税など、社会貢献であると考えております。
そこで、外的要因に関しては商品取引員各社の英知を結集して乗り切っていただくことにし、今回は内的要因、所謂、売り上げに必要なコストに注目して話を進めていきたいと思います。 商品取引員のコストの考え方を推察しますと二種類あるように感じています。一つは、売上高(収入手数料)を予測し、それに見合うコストにしようとする考え方です。これは、計画性を伴っており、企業経営の本来の姿であると考えます。例えば、売り上げは頑張っても100しか上げられないので、コストを80に押さえなければならない。そのためには各部門が合理化を推進して無駄を省き、全部門が一致団結して黒字化を図ろうとするものです。これはコストが目に見える形になっており、一般的と考えます。
もう一つは、積み上げられたコストが先にありきで、コストに見合う売り上げを営業部門に課する考え方です。例えば、コストを積み上げていくと80になるので、どんな無理をしてでも売り上げを100にしなければ経営が成り立たないとする考え方です。
どちらかといえば、後者がこれまでの商品取引員経営であったと推察します。一昔までは、勧誘規制も緩く、営業社員の努力で新規顧客の開拓は順調に行われていました。従って、少し無理をすれば売り上げの積み増しは可能だったからだと思われます。また、過去においてトップセールスだった方々が経営陣の一員に加わり、自分たちの経験からその方式が最適であ
ったと思われているのかもしれません。
ところが、環境は大きく変わっています。競争相手も既存の商品取引員から証券や外資などに広がっていますし、インターネットの普及も過去の営業スタイルを一変させてしまいました。従って、これからは前者の経営スタイルを構築しなければならないと考えます。
具体的には現状で達成可能な売上高を計画します。この売上高は高いハードルではなく達成可能ということがキーワードです。次は、業務プロセスを見直し、合理化を図ります。そして、合理化に見合った形で各部門のコストをはじき出し、場合によっては積極的にアウトソーシングを活用します。
ここで重要なことは、売り上げ、コスト共に精密に積み上げたものでなければなりません。そして、みんなが目に見える形にするということです。そして、各部門が経営原価を知ることで、足元からの改革が行えます。原価が見えなければ、上司の指示命令は掛け声倒れになってしまいます。また、緻密に積み上げた数値でなければ、社員は真剣に働くことをしなくなります。
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