リーマン・ショックの恩恵

オーテック株式会社による業界展望等。

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ロスカット取引

 ロスカット取引のルールについて主務官庁は検討を重ねています。

 これは今夏の商品取引所法の改正により、2011年から不招請勧誘が禁止されるのに伴い、金融庁が外国為替証拠金取引に対して導入したロスカット取引をお手本に、主務官庁である経済産業省、農林水産省もロスカット取引制度の導入は業界発展のために必須との考え方によるものです。

 主務官庁は検討しているロスカット取引を「初期の投資金額以上の損失発生を防ぐ仕組となっている取引」と定義しています。しかし、先行する金融庁のそれは「証拠金を上回る損失が生じることのないよう適切にロスカットを設定する必要がある。その水準は金融取引業者が判断すべき事柄」としており、商品先物取引のそれとは大きな違いがあります。

 この考え方の根本的な違いは誰のためにロスカット取引を導入するかということです。先行する金融庁の考え方は、「顧客が証拠金を上回る損失を被ることや業者の財務に影響を与える(業者が破綻して顧客全体にも著しい損害を与える)ことを防止するため、ロスカット・ルールの整備・遵守が重要」としています。つまり、業者の健全経営を目的に入っており、投資家保護のためだけではありません。

 一方、商品先物取引に対する主務官庁の考え方は、「取引による投資家の取引被害を減少させるため」としており、投資家保護が主たる位置づけであり、商品取引員が違反した場合には処分するというのが根底にあります。従って、取引所上場商品の設計の段階から「ロスカット商品の上場」というのが考え方の根本にあります。何れにしても、残念なことですが取引業者に対する信用度の違いがルール作りに影響しているようです。

 外国為替証拠金取引でのロスカットの基準は、概ね有効証拠金が維持証拠金を下回ったときに発動されるのが一般的のようです。制度作りや運用面で違いが出てくるのは「証拠金」そのものの考え方に違いがあるようです。

 本来、証拠金とは取引のリスクに対して決められるはずです。従って、リスクが少なければ証拠金は安くなり、リスクが高ければ相応の証拠金が必要になります。現在検討されているスパン証拠金制度(当回のインフォメーションで解説)は、本来のリスクに応じた証拠金制度を確立するために取り入れようとしているのです。

 国内の商品先物取引の場合は1枚当りの証拠金額として決めています。従って、ロー・リスクの取引手法を開発しても、ハイ・リスクの取引手法と同額の証拠金を要求されますから、資金効率の面や利益率の面で海外を含む機関投資家から敬遠されてしまっています。

 ロスカット取引のルールを導入する前に、スパン証拠金制度の導入も含めて証拠金制度のあり方を検討する必要があると考えます。先ずは、維持証拠金と取引証拠金は別物だと考えた制度の導入が必要です。そして、取引証拠金部分しかポジションは持てないわけですから、維持証拠金を高めに設定することで、思わぬ大きな損失を回避できます。

 しかし、これでは手数料収入が上がらないと考える業者もあるでしょう。これを回避するのがスパン証拠金制度を併せて導入することだと考えます。