リーマン・ショックの恩恵

オーテック株式会社による業界展望等。

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歓迎 市場流動性向上策

 商品先物市場発展のための第一要件は流動性の向上にあると思います。流動性が向上すると、説明のつかない乱高下が無くなる上に、売買が成立しやすくなりますから、市場の信頼性が大幅に高まります。

 今回の東京工業品取引所の「市場流動性向上のための施策」は、どれをとっても商品先物取引業界が望んでいた内容になっています。特にマーケット・メーカー制度の導入と投資信託区分を設けた一連の建玉制限緩和は、流動性向上には不可欠な要素であり、国際的競争力の向上にも寄与するものと考えます。

【マーケット・メーカー制度とは】

 マーケット・メーカー(取引所が指定した企業)が、常に市場に売買価格と売買注文を出しておき、売り買い双方の相手方となって注文を約定させる制度のことです。マーケット・メーカー制度は売買しようとしたときに常に相手方がいるわけですから、市場の流動性を確保することができます。マーケット・メーカー制度は内外の取引所で広く採用されています。日本では証券取引所が採用しているほか、東京穀物商品取引所のオプション取引でも採用されていました。

 投資家が流動性の高い市場での売買を好むのは、理にかなった値段で売買が成立することや、説明のつかない乱高下に惑わされないからです。また、投資信託などの機関投資家も、流動性が無ければ自分の注文で不利な値段がつき、収支が悪化する懸念があるため流動性の無い市場での売買を敬遠してしまいます。

 投資信託区分を設けた一連の建玉制限緩和は、市場流動性が高まることで生きてくる制度です。2007年の金融商品取引法の導入で、投資信託に49%以下でのデリバティブ取引の組み入れが許可されました。また、昨年の投資信託法の改正では、投資信託の商品先物市場での直接運用を可能にしています。

 この二つの制度改正で、商品先物取引が投資信託の運用先として可能になりましたが、肝心の商品先物市場の流動性が05年の商品取引所法改正以降に低下しており、運用先としては不合格の烙印を押されていました。また、もう一つの要因は個人投資家と同じ建玉制限になっており、大量の資金を運用するには不適格でした。
今後はマーケット・メーカーが、常に市場に売買価格と売買注文を出しますし、投資信託区分を設けて建玉制限緩和を行っているわけですから、投資信託運用に関する市場環境は整うことになります。

 リモート・メンバーシップ制度の導入と、プロップハウスに対する取引参加者資格の付与も、市場流動性を高めるためには大きく寄与します。特に海外企業にとっては、面倒な手続きを取らずに日本市場で売買できるようになりますから、利便性は格段に向上します。

 ただ、両方とも問題があります。取引に関する清算の問題です。現在、FIA-Jと経済産業省が清算制度や証拠金制度について、精力的に打ち合わせを行っていますので、その結果を待つしかありませんが、スムーズな清算が行われない限り、全ての制度導入は意味の無いものに成ってしまいかねません。