リーマン・ショックの恩恵

オーテック株式会社による業界展望等。

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ポートフォリオ営業

 商品取引の相場分析はファンダメンタル分析が中心になっています。自己ディーラーはテクニカル分析を行い、売買の際の判断にしているようですが、テクニカル分析は営業部門にはなかなか普及しないようです。

 理由は商品取引の相場分析が非常に難しいことです。価格は需給によって決まりますが、それ以外にも価格変化に影響を与えるものが多いからです。例えば商品のうちで代表的なコーンや大豆等の穀物は、米国産を取引の対象にしていますが、生産は世界各地で行われています。仮に米国が不作でも南半球が豊作なら需給としては相殺されます。また、中国やインド等の需要が増えても、世界全体で見た場合に豊作ならそれも相殺されるかもしれません。また、日本の場合はほぼ全量を輸入に頼っていますから、為替要因も大きなインパクトを与えます。さらに、飼料用のアンチョビ(カタクチイワシ)が不漁の場合は、飼料の代替品として穀物が使われますから、需要が大きく伸びることになります。他には天候要因や火山の大噴火、政治状況、世界の景気動向、海上運賃の価格変動など、多くの要因により相場は変動します。 これを個人投資家が分析することは不可能です。従って、商品取引の営業は話して納得させて売買に導くしか方法がなかったと思います。また、営業社員がファンダメンタル分析を材料に売買を薦めることで、商品取引員の業績をコントロールすることが可能になっていたことも一因でしょう。

 日本の個人投資家は一攫千金を目論んで市場に参入しているにも拘わらず、勉強をするのが不得手のようですから、論理的に難しいテクニカル分析の話よりも、ファンダメンタルな話のほうを好んだと思われます。また、営業が分業制になっていることもあり、営業責任者が導いた方向性を新規開拓社員に徹底するには需給の話をロールプレイングしたほうが簡単です。しかも、比較的買いを好む(買いが理解しやすい)のが個人投資家ですから、買い材料だけ探せば営業が成り立ったという事実があります。

 05年の再勧誘禁止が発表される前に、フロー営業からストック営業に変換していなければならなかったのではないでしょうか。ファンダメンタル営業の欠点はポートフォリオ売買が難しいことです。一つの銘柄の需給分析でも難しいのに、複数の銘柄を同時に分析して委託者に説明するのは至難の業です。しかし、今その営業手法のツケが出ているといっても過言ではありません。これまでは右から左に新規顧客の獲得が可能でした。ところが、度重なる営業規制強化は新規顧客の獲得を困難にしています。

 ストック営業とは営業資産を多く持つことです。そして、無理のない営業・売買で委託者に長期間に渡り売買して頂き、常に安定的な手数料収入を得るということです。つまり、これまでの営業手法とは全く異なるわけですから、なかなか営業手法の変換が出来なかったのでしょう。

 テクニカル分析を用いない限りストック営業は難しいと思います。つまり、ポートフォリオ営業が難しいということです。しかし、ポートフォリオ営業の場合、同時に複数銘柄を売買するわけですから、預かり証拠金が増えるのは間違いありません。また、“一つの籠に卵を盛る”訳ではありませんから、委託者が傷む確立も数段低くなります。

 ストック営業とはポートフォリオ営業であり、そのための環境作りが急務と考えます。委託者が取引を長く続ける営業、委託者が傷まない営業、取引員が安定的に手数料収入を上げられる営業、委託者が損をした場合でも納得出来て次に期待を持たせる営業、それがポートフォリオ営業だと思います。そのためには、全ての情報が網羅されて導かれた価格を分析することですし、それは方法論さえ確立できれば、多くの銘柄の売買が同時に行えるのです。