2010年にグローバルな工業品先物市場を実現する10のアクション[2]
前回に引き続き経済産業省が発表した「2010年にグローバルな工業品先物市場を実現する10のアクション」を出来るだけ原文のままご紹介し、皆様に周知できればと思っています。第2回目の今回は、経済産業省が認識している商品取引に係る現状と目指すべき姿についてお知らせします。
1.商品取引所の厳しい現状
現在の日本の商品先物市場は危機的段階にある。東京工業品取引所など国内4商品取引所の2009年の出来高は前年比の33%減少した。我が国の商品取引所は存亡の危機に立たされているといっても過言ではない。世界全体の出来高が2003年から5年間で3倍超の伸びを示している一方で、日本の商品先物市場の出来高は2003年(平成15年)をピークに減少の一途をたどり、流動性が大きく失われている。日本の商品取引所の出来高枚数を世界の取引所と比較した場合、かろうじて東京工業品取引所が10位に入るまでに衰退している。
我が国にとって重要な商品の価格が全て我が国の需給を直接には反映しない外国の市場で決定される弊害や、国内投資家が自国通貨を用いて自国の時間帯で商品への投資ができない弊害はどうでもよい問題ではない。日本に商品先物市場は必要だ。事業者に対しては個々の商品ごとに国内の産業構造や商品の生産・流通構造全体における取引所の位置づけを明確にするとともに、投資家に対しては他の資産運用手段と比べた相対的な商品投資の意義を明らかにすることにより、我が国に取引所が存在する意義について幅広く国民や各界各層の理解を得る必要がある。
2.我が国取引所の2004年以降の出来高減少について
商品取引所における取引量の減少の一因として、相次ぐ商品取引所法の改正により規制が強化され、個人投資家の勧誘を行いにくくなったためとの指摘がある。2004年(平成16年)は、再勧誘の禁止等を内容とする商品取引所法の改正が行われた年であることもあり、いわば象徴的に、規制を厳しくしたことが我が国の取引所の衰退の直接的な原因であり、行政は規制を緩くすべきという議論すらある。
しかし、厳正な法執行により個々の投資家の保護を図るとともに、トラブルのない商品市場を実現することは、国民経済の発展に資する。さらに、昨年の商品取引所法改正における国会審議や付帯決議を見れば、国会は、委託者保護だけではなく、わが国商品市場をどうするかについて、明確に意思表示している。国際競争力を強化する観点から、利用者の利便性向上及び市場の活性化に向けた取組を支援する、という附帯決議は、立法府の意思の表明である。
3.商品先物市場の目指すべき姿
我が国の商品取引所に求められるのは、そこで形成される価格がグローバルに経済活動を行う主体にとって公正で透明な指標となること、及び当業者だけでなく機関投資家といった多様な参加者が豊富に存在する流動性の高い市場であることが重要である。また、商品の価格変動リスクをヘッジする場として機能するためには、金融庁の「金融資本市場競争力強化プラン」に明記されているように、内外から資金・情報・人材が幅広く集積する、魅力ある質の高い市場であることが重要である。
機関投資家等のプロを市場に呼び込むために、金融商品取引所との相互乗り入れも視野に入れつつ、金などの商品を原資産として金融商品取引所に上場されるETFや日経・東工取指数を活用した金融商品等により、商品市場と金融市場の相乗効果を生み、資産運用の場として使いやすい市場を目指す。また、石油、石油製品市場については、当業者を市場に呼び込み、期近の流動性を高めることにより、当業者から価格指標性があると評価される市場を目指す。さらにアジアにおいて価格指標性が高いと評価されるゴム市場について国際的地位を確立する。
中期的には、大手当業者、中堅・中小事業者や機関投資家の参入しやすい市場規模を確立し、市場参加者の厚みを増す。将来的には、アジアで流通する商品が我が国の商品先物市場において取引され、価格の指標性をもち、産業インフラとして多くの当業者の多くが活用できる市場を構築する。また、日本国内の金融商品取引所とは金などを原資産とする金融資産を通じてつながり、他のアジアの取引所とも例えばグローバルに活動する機関投資家、当業者等の裁定取引を通じてつながることにより、アジア経済の持続的な成長にとって不可欠な商品先物市場を構築することとする。

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