タクシー値上げ、その後
東京地区では昨年12月3日からタクシー運賃の値上げが行われましたが、状況は必ずしもタクシー業界が見込んだ結果は出ていないようです。その背景等を探ってみましょう。
タクシー業界の思惑は大きく3つありました。
1.高騰が続く燃料代を値上げによってカバーする。
2.乗務員の待遇改善(賃金の引き上げ)を行う。
3.引き上げのタイミングは稼ぎ時の年末にする。
次に、値上げ後の変化を具体的に示しますと、
・実質運賃値上げ7%(増収要因)。
・1日1台あたりの輸送回数(実車回数=乗客を乗せて走った回数)は、
値上げ以前の8.9%減少(減収要因)。
になり、料金の引き上げ効果を完全に打ち消しています。また、一回の乗車距離が短くなったことで、タクシー会社の営業収入は前年同期比2.8%の減少になっている(日経新聞より)とのことです。
東京地区に先行して値上げを行った名古屋地区や大分県では、値上げ当初から効果が現れ、両方とも増収増益に繋がりました。名古屋地区の場合は、企業業績が他府県に比べて良い事が好結果をもたらしたようです。一方、大分県は別府を中心に観光立県であり、値上げの影響を受けにくかったことが考えられます。
ところが、東京地区はタイミング的に他の物価の値上げラッシュ時期と重なった上に、サブプライムローンの影響から企業業績に黄色信号が点り始めた時でもありました。他には株の大幅安、ボーナスの伸び悩み、比較的に気温が安定的に推移した、地下鉄を含む鉄道網の発達でタクシーの代替手段は沢山あることなどが影響したようです。
また、値上げ時期についても、「利用者が一番使う時期を見計らっての値上げ」だとして、利用者の気持ちを損ねたようです。さらには、全面禁煙も影響しているとか。ある愛煙家は、「歩きタバコが出来ないので、タバコを吸うためにタクシーに乗ったことがある。ところが、タクシーが禁煙になると吸う場所がないので、逆にタバコを吸うために喫茶店に入りコーヒーを飲む機会が増えた」と言っています。
減収による経営改善を行うために、保有台数を減らすとか自動車保険料を削減するなどの対策を取り組み始めたタクシー会社もあるようです。今後、乗客は戻るのか、はたまた減った状態で推移するのか分かりませんが、目論見が外れた例として我々は記憶しておく必要があると考えます。

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