ジェイコム株誤発注事件とは
2009年12月5日の朝刊に「ジェイコム株誤発注事件で東証に107億円賠償命令」との記事が大きく出され、全国の取引所関係者や証券・為替・商品を扱う業者は大きく身震いしたと思います。
ジェイコム株誤発注事件を振り返って見ましょう。
2005年12月8日に新規上場したジェイコム(現・ジェイコムホールディングス)の株式売り注文で、新規上場日の12月8日に9時27分にみずほ証券の男性社員が「61万円1株売り」とすべき注文を「1円61万株売り」と誤ってコンピュータに入力したことが発端です。
明らかに誤注文で、コンピュータの画面には注文内容が異常であるとする警告が表示されたにもかかわらず、担当者はこれを無視して注文を執行してしまいました。この注文を受けてジェイコム株は57万2000円のストップ安まで売られた後、売り注文が処理された後には77万2000円のストップ高まで買われる大波乱。
途中で、みずほ証券担当者は売り注文を出してから1分25秒後に誤りに気付き、3回に渡って売り注文の取消し作業を行ないましたが、東証のコンピュータはそれを認識しなく、取り消しは受け入れられませんでした。さらに、「東証と直結した売買システム」でも取り消そうとしたがこちらにも失敗し、その間もストップ安で続々と約定していきました。
その後、東証に直接電話連絡での注文取り消しも依頼しましたが、東証側は電話での取引の取り消しを拒否。その間にも、売り注文は全て約定してしまう恐れがあったために、みずほ証券は誤発注分全量を「反対売買により買い戻す」ことを決定し、買い戻しに入りました。すると、ストップ安まで売られていたジェイコム株は、見る見るうちに値を戻し、今度はストップ高に張り付いてしまったのです。
混乱は翌日も続き、ジェイコム株は翌12月9日売買停止になってしまいました。結果的にみずほ証券は、買戻し等で発生した損失約400億円は、東証のシステムが正しく動作しなかったことが原因として損害賠償を求めて提訴。
一方の東証はみずほ証券担当者が、注文取消しマニュアル通りの操作を行わなかったので賠償に応じる義務はないとして拒否していました。
2009年12月4日、東京地裁は誤発注を取り消せなかったのは「東証の対応ミス」「東証システムの不具合」であること断定。東証とみずほの過失割合を7対3と認定した判決を下しました。
あってはならない事故ですが、よりスピードを求める今日において、ありうるべき事故でもあると思います。このことを受けて、各取引所はシステムの再検査を行い、同時に事故のときの処理規定を発表しています。取引所のみならず、受託会社のシステムにおいても起こりうる事故ですので、今一度、再検証を行って欲しいと思います。

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