マグロが食べられなくなりますよ

オーテック株式会社による業界トピックス。

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マグロが食べられなくなりますよ

   日本人が1年間に食べるマグロはおよそ55万トン。その中で、現在問題になっている最高級品クロマグロは約4万3千トンで、これは世界で獲れるクロマグロの約8割にあたります。クロマグロ以外にもキハダやメバチ、ビンナガ等があり、それらを入れるとマグロ類の世界の漁獲量の1/4を日本人が食していることになるそうです。

   さて、クロマグロ問題の発端は、昨年7月に欧州の小国モナコが、大西洋・地中海のクロマグロに絶滅の恐れがあるとして、野生の動植物の国際商業取引を禁止するワシントン条約の対象にすることを求め、日本はじめ関係国に意見を求めてきました。
   大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)の推定によると、大西洋・地中海地域に生息しているクロマグロ(親魚ベース)の量は1974年の約30万トンをピークに減少し、現在は8万トン弱になっているようです。このままで推移すると、絶滅の恐れがあるというのがモナコの言い分です。

   世界の水産物マーケットを揺るがす台風の目となっている中国は、急速に輸出国から消費国へ構造転換しています。これまで上海など沿岸部の富裕層しか口にしなかった海鮮料理を、内陸部の人まで大量に食べるようになり、海の魚の消費量が爆発的に増え始めマグロや伊勢エビなど高級食材から大衆魚まで、世界の魚が一斉に中国へと向かい始めているのもこの問題に拍車をかけているようです。

   ワシントン条約締約国会議は3月18日の第1委員会で、モナコが提案した大西洋・地中海産クロマグロ(本マグロ)禁輸案の討議に入りました。最終討議に入る前にEUや米国がモナコ案に賛成の意思表示をしたことから、日本では「食卓からマグロが消える」と大騒ぎ。これを受けて農林水産省はアジアやアフリカ諸国に反対票を投じるように働きかけ、結果は賛成20、反対68、棄権30で否決され一安心しました。

   ICCATはすでにクロマグロの漁獲量を国別に割り当てています。日本は2200トンの割り当てを順守していますが、欧州の漁業者の一部は必ずしも守っているわけではないようです。各国が規制を順守することが先決だと思うのですが、これを一気に禁輸まで持っていこうとしたところに無理があったのでしょう。

   禁輸支持国から再投票を求める動議が出される可能性は残りますが、予想を上回る大差での否決に関係者からは「勝負はあった」との声も出ているようです。モナコ提案が否決されたことに支持国からは「乱獲を防ぐための取引禁止案は否決された。失望している。この会議ではこれ以上打つ手がない」と敗北を認めたようですから、これで日本の食卓も一安心といったところです。