東京工業品取引所が株式会社化を決定
東京工業品取引所は7月16日の理事会で、株式会社化を今年の12月1日にすることを決定しました。また、同時に発行可能株式総数を1510万株に設定し、現在の会員のほか情報ベンダーにも割り当てるなど、安定株主対策にも乗り出します。
同日の理事会では、従来の値幅制限を撤廃し、柔軟な値幅で取引できるサーキットブレーカー制度を導入することも決定しました。サーキットブレーカー制度の導入は、現在開発中のスウェーデンOMX社の新システムが稼働する来年5月を想定しています。ただ、新システムに関しては、開発が遅れ傾向にあるうえに、コスト面を含めて会員側の理解を必ずしも得られているわけではなく、これから紆余曲折が予想されます。
サーキットブレーカー制度は、前日の値動きを基準に一定の値幅を決め、これを超えた場合には30分程度取引を停止し、設定値幅を広げて取引を再開する仕組みで、概ね欧米と同様の仕組みになります。現在は制限値幅に到達すると、売買を出来なくなることが多く、ポジションを手仕舞うことが出来なくなり、想定以上の損が膨らむケースもありました。ただ、サーキットブレーカー制度を導入しますと、必然的に1日の値幅が大きくなりますから、証拠金制度の見直しも必要になると予想されます。
また、新システムでは全量約定が原則の成り行き注文が廃止され、発注した時点での相対する注文分だけ約定させるマーケットオーダー制度を導入します。これで、国際標準に近づきますが、こちらも会員や委託者の理解が進むか気掛かりです。
一方、株式会社の取締役についても候補者が出揃いました。取締役の定員は10名で、その候補者として東京工業品取引所理事長の南学政明氏のほか、福井俊彦前日銀総裁や、学識経験者の名前も取り沙汰されています。将来的には、株式の公開も視野に入っておりますので、開かれた企業経営が重要ですし、ユーザーである会員やエンドユーザー(投資家)の利便性を重視した経営を行って欲しいものです。
日本の取引所では証券取引所や金融先物取引所がいち早く株式会社化を行っています。そして、既に大阪証券取引所は株式を公開していますし、東京証券取引所も株式公開の準備段階にあります。
特に株式公開を果たしている大阪証券取引所の経営戦略は、デリバティブ取引の隆盛を経営の柱にしており、日本の取引所では考えられなかった投資家情報を直接入手するために、東京にマーケティング部門を設立しています。そして、担当部員は個々の投資家を直接訪問し、常に投資家ニーズを吸収するために力を入れています。
東京工業品取引所に続き、東京穀物商品取引所や中部大阪商品取引所も株式会社化を目指していますから、先陣の活躍はとても重要だと考えます。日本の商品先物市場活性化のために、是非とも輝かしい実績を上げて欲しいと考えています。

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