排出量取引市場創設へ第一歩
東京証券取引所と東京工業品取引所が、排出量取引市場を創設するための準備会社を設立する動きを示しています。取引開始は2011年度からを予定しています。
今回主導的な役割を果たしたのは東京証券取引所です。同取引所は昨年4月に温室効果ガス排出量の取引市場創設に向けて「京都クレジット等取引所研究会」を設立。その後、取引の仕組みや決済方法のほか、取引参加者の範囲や制約、法律上の問題など検討すべき課題などについて検討を重ねていました。
当初は、今年の取引スタートを念頭に置いて論点を取りまとめていましたが、市場創設を行う場合、商品取引のノウハウが必要であるとの判断から、京都クレジット等取引所研究会に当初から参加している東工取と、合弁会社を設立して共同で作業を行うほうが妥当と判断したようです。
現在、考えられている取引要領は、京都議定書に基づく「認証排出削減量(CER)」を念頭に置いているとのこと。さらに、取引参加者や価格決定方法などについて検討を進めていくとしています。当初予定されていた企業に排出枠を設定し過不足分を取引する「キャップ・アンド・トレード」方式の排出量取引については、温室効果ガス削減の有効性は低いとの判断から見送られることになったようです。
先の国連演説で鳩山首相は、「2020年までに25%の二酸化炭素排出量の削減」を発表しました。これを受けて市場創設に拍車がかかったようですが、閣内では必ずしも一本化された議論ではないようで、小沢環境大臣は11年度の市場創設を目指しているのに対し、直島経済産業大臣は時間的に厳しいとの判断を示しています。
海外では、イギリスの政府機関である気候変動委員会が、「二酸化炭素を減らすのに、排出量取引に期待はしていけない」との報告書を公表しました。
ヨーロッパの取引要領は、最初に配分された枠を超えて二酸化炭素を排出する企業が、枠内に収まった企業から余った排出枠を買う仕組で、所謂「キャップ・アンド・トレード」方式の排出量取引です。
現在の価格は14ユーロ前後(1トン当たり)となっており、昨年のおよそ半値と低迷しています。枠内に収められれば、排出枠を売ることで排出を出なくするための設備投資に廻せるとの目論見でしたが、価格が安すぎて実効性がないというのが気候変動委員会の考えです。これを受けたわけではないと思うのですが、東証が考えているのは、先にも示したように京都議定書に基づく「認証排出削減量(CER)」を取引対象にするという案です。
*認証排出削減量(CER)=京都議定書が採択した京都メカニズムのうち,クリーン
開発メカニズム(CDM)を通じて発行されるクレジットである。CDM とは,先進国が
途上国において, 温室効果ガス削減につながるプロジェクトを実施し,当該プロ
ジェクト が存在しなかった場合に比して追加的な排出削減があった場合、指定
運営組織及びCDM理事会の審査等を経て当該排出削減量に対してクレジット
(CER)が発行され,その全部または一部を先進国が自国の排出削減目標達成
に用いることが出来る制度である。

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