総合取引所
管新政権は株式や商品先物を一体で取り扱う「総合取引所」を2013年度までに創設する方針を固めて公表しました。現在は東京証券取引所や東京工業品取引所などの取引所が出資して「持ち株会社」を設立し、持ち株会社の下で各取引所がそれぞれのこれまでの事業を展開するなどの経営統合案が有力のようです。
現在日本の証券取引所や商品取引所は利便性の悪さから地盤沈下が甚だしく、商品取引に至っては、欧米や中国等の海外の商品取引所が大躍進する中で、日本の商品取引だけは2004年をピークに年々その規模が縮小しています。
特にアジアにおいて中国の躍進は目覚ましく、世界の取引所別では第1位が上海商品取引所、2位が大連商品取引所、4位が鄭州商品取引所と上位を独占するに至っています。また、価格の先行指標性を日本から奪い取ることに官民が一致団結して取り組んでおり、急いで日本の商品取引所を立て直さない限り、日本での商品先物取引の地位は沈没したままになりかねません。
政府の目論みは「取引所の競争力を高めて海外からの資金を呼び込み、アジアの資産運用センターを目指す」としています。閣議決定は速やかに行い、新成長戦略での金融分野での柱として位置付けて行動するようです。
実行にあたっては金融庁と経済産業省、農林水産省の政務三役が柱となってプロジェクトチームを立ち上げ、政治主導で今回の「総合取引所構想」を進めていくとしています。尚、現在は縦割り行政の下、法律や諸制度、規制、監督権限が分散しており、この状態では抜本的な改革は不可能と考えています。全ての一元化を図ることは国益に叶うとして、今年度中に具体的な制度設計に着手するとしているようです。
7月中にも発表される商品取引所法改正による法定帳簿等の作りは、相当簡素化され金融庁主導のものに切り替える公算が強くなってきていることも見逃せません。
今回の一連の動きに対して、商品先物取引業界は概ね前向きな姿勢を示しています。取引所首脳は「商品取引の振興に繋がる」「目指すべき方向性であり、個々の商品取引所が生き残りを探る時代ではない」とコメントを発表していますし、商品取引員の首脳は「投資家が投資をしやすい環境を構築するのは非常に良いこと」「縦割り行政の中で困っていたのは業者よりも投資家だ」「投資はあくまでも投資だ。産業インフラというのも理解できないわけではないが、投資家にとって産業インフラは関係ない」などの発言が相次ぎ、投資家の利便性の向上につながるとしていました。
既に今月からは商品、証券、金融先物に分かれている取引所が子会社方式などで相互乗り入れすることが可能になっています。法律改正のきっかけは2007年の安倍内閣の経済諮問会議で検討された「総合取引所構想」がありました。欧米並みに監督官庁を1本化し、顧客は一つの口座で様々な取引が可能になるワンストップ型はインターネット時代にも合致した考え方だと言えそうです。

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