総合取引所構想
前回も総合取引所と題して業界ニュースをお届けしましたが、菅政権が証券や金融と商品先物を一体で取り扱う「総合取引所」を2013年度までに創設する方針を固めて公表した以降、業界内外で様々な波紋を呼んでいます。
日本市場は証券業界も商品業界も苦戦を強いられており、これらの解決策としては抜本的に制度を変更し、新たな行政・規制の下で「総合取引所」としてスタートするしかないというのは一致した見方になってきたように感じます。これまでの金融庁と経済産業省・農林水産省の二元行政が、日本の投資環境を複雑にし、且つ投資家にとっての利便性を阻害していたとの声もありますが、最近の動きをみているとこれらの是正に向けて動き出しているといっても過言ではないようです。
最近の商品先物取引業界内の状況は、中部大阪商品取引所の取引員協会が取引所の自発的な閉鎖を求めたことをはじめとして、日本商品先物振興協会が東京穀物商品取引所に東京穀物商品取引所の合併を促す等、経営に苦しむ商品取引員が商品取引所の再々編に言及しています。
商品取引員はこれまで商品取引所の会員として商品取引所と共に歩んできました。しかし、商品取引所は株式会社化され会員組織は崩れ去りました。また、2005年の法律改正以降の売買高の低迷が経営を圧迫して現実があります。そこで、総合取引所構想の発表と同時に「守るべきは商品先物市場であり、商品取引所ではない」との気運が高まり、現在の動きになっているように思われます。
また、証券業界においては大阪証券取引所が東京工業品取引所に経営統合の打診をしていることや、東京証券取引所の斉藤社長が菅政権の新成長戦略に盛り込んだ証券・金融・商品の「総合取引所」創設について、「韓国や香港市場が急成長する中、日本の位置付けを考えれば検討するチャンス」と述べて、前向きな姿勢をみせ、検討にあたっては「利用者、投資家ベースで作るべき」と強調しており、民間主導で議論を進めたいとコメントを発しています。
一方、東京金融先物取引所の太田社長は総合取引所構想に少し距離を置いているようです。日経新聞の報道によれば、「大事なのは個々の経営判断による競争であり、顧客の利便性を向上させることが重要。デリバティブの総本山として競争力を高め、将来はアジアで存在感を示したい」と語っているようです。
何れにしても、目指すところはアジアの覇権を回復することであり、日本発の先行価格発信機能を確保することにあります。総合取引所に期待する声は日増しに高まっていくものと思われます。

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